地域・コラム

雨が何日も続くと、避難所の電気はもつのか|千葉豪雨・台風25号で見えたこと

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8月13日の「千葉豪雨」、9月21日の台風25号。千葉はこの夏から秋にかけて、大きな雨に続けて見舞われました。被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

サステナシールドの寺嵜です。千葉で電気の仕事を27年続けてきた者として、今回見えたことを記録しておきます。

停電は3週間以上続いた

台風25号では、千葉市中央区で48時間に419.0ミリの雨が観測されたと報じられました。9月の平年の雨量(204.7ミリ)のおよそ2倍が、2日間で降った計算です。

東京電力パワーグリッドによると、千葉県の停電はピーク時(9月22日0時台)で58,760軒。10月6日正午の時点でも約510軒、10月14日12時の時点でも56軒が停電していました。倒木や土砂崩れで立ち入れない場所があり、復旧に時間がかかったためです。

8月の千葉豪雨のときも、8月14日夕方の時点で千葉県内で約1万8千戸が停電しました。

電気が止まると、水も、排水も、お湯も止まる

今回の千葉で起きたことを、くらしのインフラごとに並べてみます。

2019年の房総半島台風で、千葉は「電気がないと何もできない」ことを経験しました。今年はそこに「水が来ない、流せない」が重なりました。

浸水した電気設備には近づかない

9月24日には、水につかった成田市の太陽光発電施設で火事が起きています。水につかった太陽光パネル、パワーコンディショナー、蓄電池には近づかず、点検は電気工事の専門家に任せてください。停電から戻るときは、大きな家電のブレーカーをいったん落とし、ひとつずつ戻すのが安全です。

雨が続くと、太陽光もつらい

「太陽光と蓄電池があれば停電でも安心」と言われます。私もそう提案してきました。ただ、雨や曇りの日が何日も続くと、話が変わります。

「晴れの日の計算」だけで決めた蓄電池の容量は、長雨の何日間をもたないことがあります。だから順番が大事だと考えています。

  1. まず、使う電気を減らす。体育館は屋根が広く、熱がこもります。屋根の遮熱で入ってくる熱を減らせば、同じ涼しさに必要なエアコンの電気が少なくて済みます。電気が細る非常時ほど、この差が効きます。
  2. 次に、自分でつくる(太陽光)。晴れ間が出たときに取り返す力です。平時は電気代を下げます。
  3. 足りない分は、外から運ぶ(電気自動車)。被害の少ない地域で充電した電気自動車は、雨が続いても走ってこられます。

電気自動車を「動く電源」にする。V2Xという考え方

国土交通省と経済産業省は、電気自動車などを「移動式の非常用電源」として避難所に給電する手順をまとめています。2019年の台風でも、自動車メーカー各社が千葉に電動車を送り、スマホの充電や扇風機、井戸のポンプなどに電気を届けました。

そこから一歩進めたいのがV2Xです。車(Vehicle)と、家・建物・地域(X)のあいだで電気を行き来させる仕組みのことです。延長コードで家電を1台ずつつなぐのではなく、建物の配線そのものに車の電気を流せます。

大事なのは、建物の側に「車から電気を受け取る口」を先に用意しておくことです。受け口がなければ、電気自動車が駆けつけても、延長コードで数台の家電を動かすのが精いっぱいになります。

機械より先に、「地域の約束」

電気自動車は、誰かの車です。いざというとき、誰の車が、どの避難所へ、何台行くのか。これは平時に決めておかないと動けません。国も、自治体と自動車メーカーなどの災害時の連携協定が全国で広がっていると紹介しています。

道路が寸断されれば、遠くからの応援は届きません。近くの販売店の車、近くの会社の車、近所の家の車を、近くの避難所へ。千葉でも、こうした身近な単位の約束を広げていけたらと考えています。

体育館の避難所で、先に確かめておきたいこと

  1. 停電中に動かしたいものと、その電気の量

    照明、空調、給水ポンプ、通信、スマホの充電。何を何時間動かしたいかから、必要な容量を逆算します。

  2. 空調は電気式か、ガス式か

    ガス式の空調でも、動かすには電気が要ります。ガスが止まれば、自立電源があっても空調は動きません。

  3. 屋根・窓の熱対策

    使う電気を減らせば、同じ蓄電池でも長くもちます。非常時の電源計画は、熱対策から始まります。

  4. 太陽光・蓄電池・パワーコンディショナーの設置の高さ

    水につかれば止まり、発火の危険もあります。浸水想定区域なら、置く高さから考えます。

  5. 電気自動車から電気を受け取る口(V2X)と、来てくれる車の約束

    受け口がないと、車が来ても建物に電気を流せません。誰の車が来るかは、機械より先に決めておきます。

  6. 晴れない日が続いたときの計算

    「晴れの日の計算」だけで決めず、雨や曇りが続く日数を前提にして確かめます。

よくある質問

太陽光と蓄電池があれば、長い停電でも大丈夫ですか。
雨や曇りが続くと太陽光の発電は大きく落ち、蓄電池は充電し直せません。使う電気を減らす対策と、電気自動車など外から電気を運ぶ手段を組み合わせて考える必要があります。
水につかった太陽光パネルや蓄電池は使えますか。
近づかず、電気工事の専門家に点検を依頼してください。浸水した設備は、感電や発火の危険があります。
V2Xとは何ですか。
電気自動車と建物のあいだで電気を行き来させる仕組みです。建物の配線に車の電気を流せるため、延長コードでつなぐより広い範囲を支えられます。
停電から戻るとき、気をつけることはありますか。
エアコンや給湯器など大きな家電のブレーカーをいったん落とし、ひとつずつ戻してください。一度に電気が流れると、再び停電したり、機器を傷めたりすることがあります。

おわりに

千葉市は2019年の台風を教訓に、避難所となる市の施設へ太陽光と蓄電池の導入を進めています。次の一歩は、長雨と浸水を前提にした設計と、電気自動車を含めた地域の約束だと考えます。

浸水した電気設備の安全確認や、避難所・施設の電源の考え方について、ご相談をお受けしています。

情報確認日:2026年11月1日。数値は各発表時点のものです。
出典:
東京電力パワーグリッド 台風25号による停電状況(2026年10月14日12時時点)
https://www.tepco.co.jp/pg/emergency/pdf/261014j0101.pdf
千葉市 下水道の使用自粛のお願い(2026年9月25日更新)
https://www.city.chiba.jp/kensetsu/gesuidokikaku/eigyo/siyoujishuku.html
千葉県 北印旛沼の緊急復旧完了(2026年10月16日)
https://www.pref.chiba.lg.jp/kakan/press/2026/kitainba-hukkyu.html
国土交通省 災害時に給電機能のある電動車は移動式の非常用電源として使えます
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn7_000008.html
千葉市 避難所への再生可能エネルギー等導入事業
https://www.city.chiba.jp/kankyo/kankyohozen/datsutanso/hinanjosaiene.html
このほか、NHK・日本経済新聞・J-CASTニュースの報道(2026年8月〜10月)を参照しました。

千葉の停電への備えは千葉の停電対策のページ、体育館の空調と防災は学校・体育館のページでもご案内しています。

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写真はイメージです。本記事は2026年11月1日に確認した公開情報をもとにしています。数値は各発表時点のもので、今後更新される可能性があります。