24時間、止められない建物です。だから「何秒止まると困るか」で、選ぶ機械がまったく変わります。容量が先に決まっている提案は、たいてい過大か、足りていません。
千葉県は、24時間止められない施設を数多く抱える県です。そして2019年に、電気が止まりました。
令和元年台風第15号。復旧まで2週間以上かかった地域があります。
出典:内閣府「令和元年台風第15号に係る被害状況等について」(第21報)
点検はしている。でも何時間もつのかを、誰も知らない。
コンマ数秒の電圧低下で、機器が落ちて立ち上げ直しになる。
止められない建物だから、基本料金も使用量も下がらない。
分かれ目は容量ではありません。切り替わるまでに何秒かかってよいかです。
医療・福祉施設は、この2つが必ず混在します
全部をUPSで守ると過剰投資になります。全部を蓄電池で守ると、いちばん守りたい機器が落ちます。
どこで線を引くかを決めるのが、私たちの仕事です。回路単位で仕分けてから、機械を選びます。
切り替えの有無です。蓄電池は停電を検知してから自立運転に切り替えるため、数秒の空白が生まれます。UPSは常に電池を経由して電気を送っているので、系統が落ちても切り替えという動作そのものが起きません。だから0ms(無瞬断)です。
医療機関でいちばん多い電源被害は、実は長時間の停電ではありません。落雷や系統事故による瞬時電圧低下(瞬停)です。コンマ数秒で機器が落ち、立ち上げ直しに時間がかかる。過去に原因不明で機器が止まったことがあれば、まず電源側を疑ってみてください。
容量から先に決めることはしません。止めたくない設備と、動かしたい時間の掛け算からしか、必要な容量は出ません。
| 区分 | 設備の例 | 許容できる切替 | 推奨 |
|---|---|---|---|
| 絶対に落とせない | 生命維持に関わる機器、手術関連、電子カルテ、サーバー、ナースコール、監視・通信 | 0秒 | 無瞬断UPS |
| 数秒なら耐えられる | 照明、コンセント、空調、換気、給水ポンプ、エレベーター、厨房 | 数秒 | 蓄電池 |
| 非常時は止めてよい | 外構照明、一部の一般負荷 | — | 切り離す |
上記は考え方の例です。実際の仕分けは、施設の運用と法令上の要求(非常電源の要件等)を踏まえて、現地で決めます。非常用発電機がすでにある場合は、それとの役割分担も併せて整理します。
24時間空調の建物ほど、一段目の効き方が大きくなります。熱を先に落とすと、空調も、太陽光も、蓄電池まで小さくなります。
サーモグラフィで熱の入口を特定してから決めます。入居者・患者さんの体感も変わります。
熱負荷が下がった前提で計算し直します。24時間動く建物なので、ランニングの差が積み上がります。
昼間に使う電気が多い施設ほど、自家消費が効きます。非常時は日中の電源にもなります。
0msが要る回路と、数秒でよい回路を分けて設計します。ここが最後です。
一段目を飛ばすと、後段がすべて過大になります。先に熱を落とさずに蓄電池を買うと、減らせたはずの負荷をそのまま抱えたまま容量を買うことになります。
いいえ。デマンドモードで最大需要電力を抑えれば、電気の基本料金が下がります。余剰吸収モードで日中の太陽光の余剰を充電し、夜に放電すれば購入電力量が減ります。この2つは併用でき、平時から働きます。非常時はBCPモードで特定負荷へ供給します。
24時間動いている施設は、ピークが読みやすくデマンド制御と相性がよい建物です。
| 規模 | 向いている構成 | 置き場所 |
|---|---|---|
| クリニック・小規模施設 | Tesla Powerwall 3(13.5kWh/台・出力9.69kW・最大4台54kWh)+必要な回路にUPS | 屋外壁掛け/自立。省スペース |
| 老人ホーム・中規模 | 産業用蓄電池(108〜270kWh級)+0ms回路にUPS | 屋外キュービクル |
| 病院・大規模 | 産業用蓄電池+UPS+既設の非常用発電機との役割分担 | 屋外キュービクル+屋内UPS |
写真出典:日東工業株式会社 製品資料「産業用太陽光自家消費蓄電池システム サファLink-ONE-」(2026年8月)
写真出典:同上。メーカーの納入実績であり、当社の施工実績ではありません。
数値は各メーカーの公表値です。実際の構成は現地の受電設備と負荷条件によって変わります。既設の非常用発電機がある場合は、それを活かす前提で設計します。
非常用電源でいちばん怖いのは、性能が足りないことではありません。「入れっぱなしで、いざという時に動かなかった」です。
止まっては困る度合いが高い設備ほど、「何時間もつか」より「本当に生きているか」が問われます。だから私たちは、電池の状態監視に強いメーカーのUPSも選択肢に持ち、保守の枠組みを設計に入れてからご提案します。
医療・福祉施設向けにも、省エネ改修や自家消費型太陽光・蓄電池を支援する制度があります。年度によって要件も公募時期も変わります。
| 方向性 | 対象になりうるもの |
|---|---|
| 省CO2・ZEB化系 | 断熱改修、空調・照明の高効率化、建築物の省CO2改修 |
| 熱中症・災害対策系 | 省CO2化と災害・熱中症対策を同時に扱う施設改修 |
| 再エネ導入系 | 自家消費型太陽光、蓄電池(環境省・経済産業省系) |
| 自治体独自 | 千葉県・市町村の省エネ/BCP補助 |
制度は年度ごとに変わります。適用可否は所管官庁と執行団体へのご確認が必要です。
補助金ありきで工事を組みません。本来必要な工事を先に決めて、そのうえで使える制度があれば当てにいきます。制度が終わった瞬間に成立しなくなる提案は、提案ではないと考えています。
私たちの役割は、採択に耐える技術構成と、実測にもとづく根拠資料をお出しすることです。
千葉県には、遮熱・断熱工事や蓄電池を対象にした独自の補助金があります。
| 対象者 | 県内で事業を行う中小事業者等(中小企業、個人事業者、NPO法人、組合等) |
|---|---|
| 対象設備 | 蓄電池/LED照明/高効率空調/遮熱・断熱工事/工場廃熱等利用設備/自然冷媒機器/太陽熱利用・風力発電等 ※太陽光発電は対象外 |
| 補助率 | 省エネ診断あり:1/2・上限1,000万円 簡易自己診断のみ:1/4・上限500万円 |
| 必須要件 | CO2CO2スマート宣言事業所登録/省エネルギー診断の受診または簡易自己診断/年間3t-CO2以上の削減 |
| 事務局 | 業務用設備等脱炭素化促進事業補助金事務局 TEL 050-3108-5921 |
診断を受けているかどうかで、補助率が2倍・上限が2倍変わります。(1/4・上限500万円 → 1/2・上限1,000万円)
次年度も同様の制度が続く場合に備え、診断を先に済ませておけば、募集開始と同時に動けます。ただし次年度の制度内容は未定です。「来年も必ずある」とは申し上げません。
公立病院は対象外です。医療法人・社会福祉法人が「中小事業者等」に該当するかは、事務局へご確認ください。
県公式PDFは千葉県のサイトへリンクしています。最新の受付状況は必ず公式ページでご確認ください。
デマンドの30分値をお預かりします。24時間施設は夜間の実態が特に重要です。
屋根・窓・外壁、受電設備の余力、設置スペース。運用を止めずに調査します。
0msが要る回路と、数秒でよい回路を分けます。既設の非常用発電機との役割分担もここで整理します。
遮熱・空調・太陽光・UPS・蓄電池を一本の設計として。使える制度があれば併せて整理します。
入居者・患者さんの生活を止めない工程を先に決めます。所轄消防への事前相談にも同行します。
私たちは高圧受電設備(キュービクル)の設計・施工を本業としています。遮熱も、空調も、太陽光も、UPSも蓄電池も、受電設備の増設まで含めて一本で計画できるのがいちばんの違いです。設備が業者ごとに分かれると現場の統制が取れなくなり、無駄なコストが積み上がります。
役割が違います。発電機は燃料がある限り長時間まかなえますが、始動までに時間がかかり、燃料の備蓄と補給が前提になります。蓄電池・UPSは即座に立ち上がり、燃料が要りません。「発電機が立ち上がるまでの空白をどう埋めるか」が実際の論点になることが多いです。既設の発電機を活かす前提で設計します。
それを前提に工程を組みます。24時間動いている建物なので、切替の段取り・仮設・作業時間帯を先に決めてから着工します。入居者・患者さんの生活を止めない工程を、設計の一部として扱います。
止めたくない設備と、動かしたい時間と、許容できる切替時間から逆算します。容量から先に決めることはしません。まずデマンドの30分値と、守りたい回路の一覧をお見せください。
過去に原因不明で機器が止まったことがあれば、電源側を疑う価値があります。落雷などによる瞬時電圧低下はコンマ数秒ですが、それだけで機器が落ちます。長時間停電より発生頻度が高い、というのが現場の実感です。
下がる方向に働く要素は3つあります。①遮熱・断熱で空調の負荷そのものを減らす、②蓄電池のデマンドモードで最大需要電力を抑えて基本料金を下げる、③自家消費型太陽光で購入電力量を減らす。ただし、どれくらい下がるかは実測しないと分かりません。「たぶん効果があります」というご提案はしません。
構成が決まる前の金額はお出ししません。数字だけが独り歩きしてしまうためです。守りたい回路と継続時間、既設の受電設備・非常用発電機の状況が分かれば、総額でお見積りします。追加費用の可能性も先にお伝えします。
使えるかどうかを私たちが断定することはできません。候補となる制度はありますが、適用可否は所管官庁と執行団体へのご確認が必要です。私たちは採択に耐える技術構成と根拠資料をお出しする役割を担います。
何を導入するか決まっていなくて構いません。「停電したら、うちは何時間もつのか」という質問だけでも結構です。必要がなければ、必要ないとお伝えします。